ディズニー映画アラジンのテーマ曲『A Whole New World』(ホール・ニュー・ワールド)をピアノで弾きたいという方は多いのではないでしょうか?
『A Whole New World』は、ディズニー映画音楽の中でも有名な曲で、結婚式の新郎新婦の入場などのシーンにもよく使われる曲です。
この記事では、ピアノ講師の私が、『A Whole New World』をピアノで弾くポイントや、この曲の魅力について紹介します。
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ディズニー映画アラジンのテーマ曲『A Whole New World』とは
アラジンのテーマ曲『A Whole New World』は、ディズニー楽曲の中で唯一、ビルボードHot100で1位を獲得した楽曲。
『Let It Go』ですら到達できなかった快挙なんです。
『A Whole New World』を作曲したのは、ディズニー黄金期を支えた“音楽の魔法使い”アラン・メンケン。
メンケンは、ディズニーが“第二の黄金期(ディズニー・ルネサンス)”と呼ばれる90年代初頭に送り出した名作群、『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』『ポカホンタス』などを手がけた、現代ディズニー音楽の象徴的な存在です。
その中でも『アラジン』(1992年公開)は、空飛ぶじゅうたんで世界を旅するロマンスと冒険の物語。
アラブ風の異国情緒と、90年代的なポップ感が融合した映像と音楽は、子どもから大人まで幅広い世代を魅了しました。
そして主題歌 『A Whole New World』 は、アカデミー賞歌曲賞、グラミー賞最優秀楽曲賞など数々の栄誉に輝いた代表曲。
まさにメンケンの最高傑作のひとつであり、ディズニー映画音楽を語るうえで欠かせない1曲です。
『A Whole New World』はピアノ中級課題曲
ボストリー・ミュージック・アカデミーでは、ピアノコースの中級課題曲として『A Whole New World』を取り入れています。
選曲の理由は「有名だから」だけではありません。
- なだらかなメロディの流れ
- 感情の乗せ方
- 左手アルペジオの美しさ
など、学べる音楽的要素が非常に多いからです。
『A Whole New World』の音楽的分析とピアノで演奏するポイント
『A Whole New World』(実写版)は Dメジャー(二長調)で始まり、Fメジャー(へ長調)に転調する構成です。
これは「新しい世界へ踏み出す心の変化」を見事に象徴しています。

コード進行は王道ですが、要所で使われるマイナーコードやセブンス系の響きが神秘性や儚さを演出し、メロディは歌詞の意味とリンクしながら大きく跳躍する部分があり、「空を飛び、世界を駆け抜ける感覚」を見事に表現しています。
属調から始まるサビの意外性と美しさ
『A Whole New World』のサビでは、主調であるDメジャーではなく、その属調(V)であるAメジャーのコードから始まります。
属調は本来、主調に向かって解決するための「導線」として使われることが多く、楽曲の中では“助走”や“推進力”の象徴とされる存在です。
ところがこの曲では、その導線としての役割を持つはずの属調から、いきなりサビが始まるのです。
これはセオリーに照らすと少し意外な構成ですが、実際には驚くほど自然に耳に馴染み、むしろ聴き手を一気に「物語のクライマックス」へと引き込んでいきます。

緊張を含んだ音から始まり、すぐにDメジャーへと解決する流れによって、「新しい世界が目の前に開けていく感覚」が音楽的にも巧みに表現されていますね。
あえて“主調ではない場所”から物語を始めることで、「冒険の第一歩」「これまでとは違う視点」を感じさせる。そんな作曲のセンスが光ります。
属調始まりのサビは決して珍しい手法ではありませんが、それが物語性とぴたりと噛み合って、美しく機能しているという点で、この曲の完成度の高さを改めて感じさせてくれます。
サビの演奏のアドバイス
その後はフレーズの展開に合わせて少しずつ音量を上げ、サビ後半にかけて盛り上がり、だんだんと山をなだらかに下るようにサビ終わりで落ち着きます。また、左手のアルペジオは低音から高音へ向かって階段を上がるように、少しずつ音量を上げて弾くと、自然な流れが生まれます。
音楽を通してあのシーンが甦る
最後になりますが、『A Whole New World』は、音楽の力で「見たことのない世界」「心のつながり」「自由な冒険心」を描き出します。
ボストリー・ミュージック・アカデミーのピアノ・キーボード中級コースではこの「A Whole New World」が最終課題曲となっています。
ピアノを通じてこの曲に挑戦することは、単なる技術向上ではなく、音楽によって物語を体験し直すことに近い体験です。
映画「アラジン」の名シーンを音で再現することで、聴く人・弾く人の心に再び感動が生まれるのです。
音楽を超えて情景を描き出すこの名曲を、ぜひピアノ・キーボードで楽しんでみてください♪
北島 美奈(きたじま みな)